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みどりの食料システム戦略の実践レポート vol.3

2024年9月5日 業務執行理事 南埜 幸信

牛乳を使わないクリームの開発に取り組んでいます

一般社団法人日本有機加工食品コンソーシアムの会員で、餡子と和菓子の分野で長く有機加工食品の開発販売に取り組んできている東京に本社を構える(株)遠藤製餡という企業がある。先代の社長は、認証団体JONAの創業期からのメンバーで、有機の餡子を創るために、当時日本に皆無であった有機砂糖を始めて輸入した立役者。実は砂糖は政府の統制品目で、国内生産者の保護という政策もあり、その輸入については、かなりの制限がかけられた時代。ましてや、オーガニックという認証品を別枠でという事業については、農水省や砂糖の業界からかなりの抵抗にあい、心身ともにめげながら、頑張り通してついに実現したといういきさつがある。そのせいか、遠藤製餡という企業は、有機砂糖の輸入取扱商社という意味でも日本で一番の企業である。餡といえば小豆と砂糖。これを有機に切り替えるうえで、必要に迫られた取り組みではあったが、傍から見ていて、当時の遠藤社長の努力には本当に頭が下がった。有機の加工品を作り上げるということは、本当に情熱と諦めない気持ちが大切だと、たいへん勉強させていただいたことをいまでも覚えている。

さて、この遠藤製餡から相談が舞い込む。日本一の生どら焼きのメーカーである企業さんから、オーガニックのどら焼きを世に出したいので、相談にのって欲しいとのこと。小職はどら焼きは、外側のケーキと餡子があれば成立すると思っていたので、コンソーシアムには国産有機の小麦粉あり、場合によってグルテンフリーという要望があれば、今年から取り組んでいる米粉専用品種のオーガニック米粉を提案できる。中の餡子、これは遠藤製餡のコア商品。糖度や粘度や、有機で様々な原料提案ができるはず。これは実現可能性が相当高いと、孫の持っているドラえもんのぬいぐるみを見ながら、にっこりと笑っていた。

ところが先方の担当と会ってみると目から鱗。今のどら焼きは、餡子を生クリームで包んだタイプが主流。つまり、オーガニックの生クリームを創らないと実現しないのだ。牛乳を原料にした生クリームのオーガニックはまず無理だし、どうすればと考えていたら、たまたま有機豆乳を原料にした商品開発の相談をしていた埼玉県の(株)ヤマキの社長から、ちょうど豆乳+ココナッツオイルで近い食感が出るので、これでクリームの開発を考えていたということでグッドタイミング。ぜひ試作をしてみようということになった。有機豆乳については全く問題なく加工できる。そこでココナッツオイル。ココナッツと聞いて直ぐに前回JICAのプロジェクトでベトナムに行ったときに、のどが渇いたという話をしたら、同行していた方が道端のココナッツをとって、その水を飲ませていただいたこと。そうだ。ベトナムはココナッツの国。ココナッツの木を柱にした家まである国。日常生活にココナッツがしっかり入り込んでいる。ベトナムならオーガニックのココナツオイルがあるかもしれない。

実はちょうどベトナムには、小職がイオン時代に、日本のオーガニックを勉強したいと小職がお預かりした人が今、ご主人と貿易会社を経営している。直ぐに連絡したら、数日後に返事がきた。ベトナムでココナツオイルを製造している20社ほどのメーカーに一斉に問い合わせしてくれ、そのうちの2社が有機JAS認証を持っていて、日本に出してもいいと言ってくれている。 こんなにスムーズに揃うのはいままでほとんどなかった。あまりにスムーズ過ぎてびっくりしている。いずれにしても、オーガニッククリームを創れる材料は揃った。あとは対応いただけるメーカーと洋菓子加工メーカーにチームに入っていただくだけ。実はとてもワクワクしている。有機クリームが実現できたら、どら焼きはもちろん、ケーキなどのスィーツ系洋菓子のオーガニック化が視野に入る。豆腐や味噌や豆乳といった食品だけではなく、大豆から洋菓子ができるという画期的な革命を起こせる。これをぜひ実現したいと考えている。

ちょうど昨日、大手のどら焼きメーカーの開発部の方々と一緒に、有機豆乳クリームの試作したものを何パターンか試食した。食感等少し問題は残ったが、かなり実現は近そう。小職含め参加した遠藤製餡のメンバーは、同じ感触を得ている。小職の女房だけでなく、食後のデザートは別腹という女性のために、有機のスイーツをという目標が目の前に来ている。

皆さんぜひご協力ください。そして、開発チームにぜひ入ってください。よろしくお願いいたします。

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