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みどりの食料システム戦略の実践レポート vol.1

2024年8月24日 業務執行理事 南埜 幸信

米粉専用品種のオーガニックへの取り組み

先日千葉県の匝瑳市で、一般社団法人日本有機加工食品コンソーシアム主催の研修会「米粉専用品種のオーガニックの取り組み」を実施した。関東の米粉専門の加工メーカーはじめ、農水省からも米粉の推進部門の齋官課長補佐にも講義をいただいた。この試作の実施は、匝瑳市で有機のコメ作りに長く取り組む、佐藤真吾さん。元々は畑作農家で、パタゴニアと協業で、日本でも先進的な匝瑳市のメガソーラーシェアリングのオーガニック生産者だったが、少しずつ田んぼの経営も取り入れ、現在では15haほどの有機水稲も経営08する新進気鋭の有機生産者だ。

このエリアは、ほとんどの田んぼが水源から直接パイプラインで用水が来ていて、よその田んぼを通ってきた水が入ってくることはありえない。また、九十九里海岸近くに位置し砂壌土という土質で、代掻き後の土壌の落ち着きがよく、有機水稲の実施で一番大きな問題の除草について、乗用の水田除草機であるオーレック社のウィードマンが使える。

この除草機は、条間はもちろん、問題の株間まで同時に除草できる優れもの。ちょうど北海道の有機たまねぎの栽培が、条間と株間を同時に除草できるキューホーという除草機の開発によって飛躍的に面積が拡大したように、今後の水田の有機栽培は、この条間と株間を同時に除草できるウィードマンの登場によって、いよいよ面積の拡大というフェーズに入る予感がしている。 佐藤さんもこの地域の優位性を理解していて、将来は300haクラス(出荷量想定1600トン)の産地に持っていきたいと夢を語っている。

コメの国日本で、コメを使った麺やパンを創る戦略

そもそもこの米粉専用品種。これは小麦粉に代替えできる米粉の実現という農水省の構想で、農研機構を中心に品種改良が続けられてきている。これまで日本人が好んで食べてきたお米は、そもそもパンや麺の原料としては適性が無いということである。これがコメの国でありながら、ベトナムや中国のようなコメの麺やパンが無かった最大の理由。つまり、飯米が余ったから米粉にするというのは、そもそも加工に適さない米を加工していたことになる。これでは当然消費が伸びるはずがない。根本的に、本気でコメの国日本でコメを使った麺やパンを創ることは、小麦を利用した日本を植民地化する戦略からの真の解放を図る戦略なのだ。今年はとにかく初めてなので、精米歩合による味の差や、乾式と湿式の製粉方法の違いによる品質の差、そして、乳化粘質のための添加としてアルファ化した米粉も視野にいれて、パンや麺だけではなく、スィーツや和菓子の分野にまで米粉の需要の幅を喚起していく施策をする予定だ。年明けのどこかのタイミングで、支援をいただいている農水省もお声がけして試食会を開催すべく準備を進めたいと思っている。これからの進展も随時配信しますので、ぜひこの萌芽期より何らかの関わりを持っていただきますよう、よろしくお願いします。

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