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国産有機ひまわりオイルへのチャレンジ

みどりの食料システム戦略の実践レポート vol.29

2025年3月 業務執行理事 南埜 幸信

昨年来、国産有機豆乳を利用して、ヴィーガン&オーガニックの豆乳クリームを試作し、洋菓子メーカーへの提案を開始できたところまで来ている。当初は一般の情報をもとに、有機豆乳とオーガニックココナッツオイルをベースに試作を始めてみたが、ココナッツオイルは粘性が高いので、もう少し柔らかい有機の植物オイルということで、イタリア産の有機のひまわりオイルを追加して、食感が牛乳のクリームに近づいたという評価になり、本格的な製造に向け検討を始めたところにある。

製造ロットに見合う有機原料の調達が可能になれば、商品投入になるが、現時点の製造要請からすると、ココナッツオイルやひまわりオイルの使用量が少なすぎて、現地の製造メーカーとは直接取引ができない状況になり暗礁に乗り上げてしまった。小ロットでの有機の油が何とかならないかと考えているうちに、国産のひまわりオイルの取り組みが少しずつ進んでいることが解った。

まずはひまわりの導入については、下記のとおり大きく5つの効果が期待されている。どれも有機農業の推進には、大切な取り組みになる要素を秘めている。

  1. 蜜源作物としてのひまわり
  2. まずは、ミツバチの餌として欠かせない蜜源ということでは、夏場は蜜のある花が非常に少ないことから、養蜂家は蜜のある花を求めて、つまり春の花と秋の花を追いかけて、春は南から北へ北上し、秋は北から南に下がってくるという、日本全国を回ってミツバチを養っている。夏場の花で蜜を持っているというものが少ないからである。その点夏場の蜜源として貴重な花がひまわり。大きな花の固まりの一つ一つに蜜があることから、夏場の貴重な蜜源になる。

  3. 耕作放棄地の再生として効果大
  4. 耕作放棄地を再生していくためには、生い茂ったジャングルのような雑木と雑草を物理的な機械で片づけたあと、プラウやサブソイラといった土の塊をほぐす農業機械の導入がまず必要になる。そこで必要なのが、荒々しい土壌でも立派に草に負けず成長する植物。その意味でひまわりは開拓者魂に溢れる期待の植物である。

  5. 景観作物としてのひまわり
  6. 春の菜の花、夏のひまわりは、子供の遊び場や地域イベントでの活用として観光に生かされる効果が大きい。景観作物としての見栄えと、迷路イベントやマラソン大会でのシンボルなど、地域おこしにも活用できる。

  7. 緑肥効果としてのひまわり
  8. 栽培容易で、豊かな根圏と多くの根と共生する微生物を養う力も大きいと推察される。また、かなりの背丈に成長することから、施用する畑への堆肥効果も高いと期待される

  9. 物油の原料としてのひまわり
  10. 過去の品種は油分が約30%と低かったが、最近は品種改良により、ゴマや菜種に匹敵する油分含有率の45%程度まで向上している。搾油効率も上がり、国際的には重要な油脂原料に成長してきている。また、油の搾り粕は、牛の餌としても利用価値が高い

    以上のような効果が期待されているのがひまわりなのだ。

    そこでこのひまわりの導入について動き出している事例がある。一つは、収穫から脱穀出荷調整の機械化に取り組んでいるヤンマーのプロジェクトが動き出していることである。それが『くぼたeプロジェクト』。再生農地でのひまわり栽培の推進である。

    ヒマワリは、北米原産のキク科の作物。130~180cmある長大作物で、養分吸収力が大変強い。ロシア、ウクライナ、東欧に多く、北米(アメリカ、カナダ)、南米(アルゼンチン)、アジアでは、中国、インドなどの内陸乾燥地帯に多い作物。用途から、油糧用、食品用、観賞用に分けられる。世界的には重要な「油糧作物」であり、ヒマワリ油は、ダイズ油、パーム油、ナタネ油に次ぐ、第4の植物油になっている。

    2000年以降、脂肪酸組成が育種的に改良され、従来のハイリノール油から、カノーラ油(ナタネ油)と脂肪酸組成がほとんど変わらない「中オレイン酸品種」が主流になってきている。この栽培を広めるために、農業機械メーカーのクボタとして、収穫~乾燥~調整~出荷までの機械化一貫作業を可能にしている。ひまわりの収穫と脱穀が可能なコンバインを開発したのだ。

    次に注目したのが、香川県のまんのう町での取り組み。ひまわり栽培の拡大に町あげて取り組み、ひまわり油の搾油までして、町のブランド商品として販売している。

    以下まんのう町のホームページから引用して紹介したい。

    まんのう町は香川県の南西部、徳島県との県境近くに位置しています。1989年以降、ここでひまわりの栽培が行われています。同じ年に休耕中の田んぼに種を植えたのが始まりです。120万本のひまわりが咲くこの町には、人口をはるかに上回る数の人々が毎年夏にやってきます。7月には一面に黄色い花が満開に咲き誇ります。同じ月に、町では満開になった花を祝うひまわり祭りを開催しています。ひまわりは見て楽しむ以外にも、この町にとって貴重な観光資源です。以前小学校だった建物を利用して2018年にオープンした地元の工場で、ひまわりの種を搾って油を生産しています。圧搾からボトル詰めまですべての生産工程をこなしています。種に含まれる栄養成分を損なわない低温圧搾法で抽出された油は、添加物や保存料を含まない、オレイン酸が豊富な製品です。まんのうひまわりオイルは、サラダドレッシングの主な原料としても使われています。油かす(油を抽出した種の搾りかす)の一部は「ひまわり牛」と呼ばれる地元産の牛の飼料に使われています。

    現在日本の食料自給率を落としている最大の要因は、畜産用の餌と植物油がほぼ輸入に頼っているというところと言われている。この自給率を上げるという意味でも、ここまで進んできたものを、国産の有機ひまわりオイルプロジェクトのスタート元年にしたいと強く願っているところである。国内の有機生産者に緑肥としてのひまわりの輪作導入と、ひまわりの収穫を可能にするコンバインのアタッチメントの確保と、有機的な方法で圧搾油を製造できるメーカーとの協業の確認である。特に圧搾でひまわりの搾油が可能な国内の油メーカーの情報があれば教えていただきたい。

    次号に続く

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